ミルトンの叙事詩。1671年刊。四巻からなる。
素材としては『新約聖書』の共観福音(ふくいん)書、とくに「ルカ伝」の記事が用いられている。
キリストが救世主、贖罪主(しよくざいしゆ)としての自覚をもち、宣教の生涯に入る前、悪魔(セイタン)の誘惑にあい、これに打ち勝つ物語が、この詩の中心となっている。
これらの誘惑は、なんらかの形で人間が経験するものであるが、キリストが人間的次元における存在から、神の子としての自覚を確立する過程において、これらを拒否する姿を描くことによって、ミルトンは自らの内面における浄化の過程を描いたといえる。